2022/07/29◇ 住宅ローンと遺言の活用2
◆住宅ローンを組む場合に遺言も作成しておいた方が良いケースを紹介します。
A夫婦に子供がいれば夫が亡くなった場合の法定相続人は妻と子ですから、一見問題はないように思えます。しかし、子が未成年だった場合は自ら遺産分割協議に参加することができませんので、子の特別代理人の選任を家庭裁判所に申し立てる必要があります。その場合、妻(子の母)も法定相続人の一人であることから、利益相反となるため妻(子の母)は特別代理人にはなれません。子が複数人いれば、特別代理人も複数人必要になります。
また、選ばれた特別代理人は子の利益を守る義務がありますので、子の取り分が法定相続分を大きく下回るような遺産分割はやはり原則としてできなくなります。このような懸念を解消するためには、住宅ローンの申込みに合わせてローン契約者が遺言書を作成しておくことです。万一の時には妻に単独でマイホームを相続させたいと思うなら、「自宅を妻に相続させる」との一文を遺言書に記載しておくだけで済みます。
2022/07/22◇ 住宅ローンと遺言の活用
■住宅ローンを組む場合に遺言も作成しておいた方が良いケースを紹介します。
@子供のいない夫婦がマイホームを購入して夫名義で住宅ローンを利用する場合。
夫が万一病気や事故で亡くなると、団信のお陰でローンの残債は消えますが、夫が亡くなった瞬間、マイホームは法定相続人全員が法定相続分通りの割合で共有するという状態に置かれます。夫の親が存命なら妻と義親との共有、夫の親が既に亡くなっていたりすれば妻と夫の兄弟姉妹との共有です。この共有状態を解消するために行うのが遺産分割協議ですが、これは法定相続人全員の参加と合意が絶対条件です。つまり、妻がマイホームを単独で相続することを他の相続人全員が合意しない限り、妻が単独所有とすることはできないのです。妻の単独所有でなければ、妻がその後売却したいと考えても、他の共有者(亡夫の親や兄弟姉妹)が一人でも反対すれば結局売却することはできません。
2022/07/12◇ 遺言作成の留意点
◆財産分割方法 遺言による財産の分割方法には@包括遺贈:「遺産の2分の1を長男に相続させる」のように割合で示す方法とA特定遺贈:「現金1000万円を長女に相続させる」
「○○の土地は、孫○○に遺贈する」のように遺産の中の特定の財産を遺贈する方法があります。包括遺贈にした場合、具体的に財産を相続する場合には、遺産分割協議が必要となるため、特定遺贈の方が望ましい事となります。◆遺言書が特に必要なケース 次のような場合はトラブルを避けるためにも遺言を作成しておくべきと思われます。@子がなく、配偶者と兄弟姉妹が相続人となる場合(兄弟姉妹には遺留分が認められていないので遺言があれば配偶者に100%財産を残す事が可能)A先妻の子と後妻がいるB子の中で特別財産を多く与えたい者がいるC相続人が国外に居住しているD相続権のない子の嫁、孫などに遺産を与えたいE会社経営者で後継者に自社株を相続させたいF内縁の妻や認知した子がいる
2022/07/03◇ 自筆証書遺言について
◇自筆証書遺言は、費用がかからず、簡単に作成する事ができますが、法律に定める方式によることが必要です。法律では「遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書しこれに印を押さなければならない」とされています。ただ、平成30年の民法改正で財産の目録については自書の必要が無くなりました。ただしその場合目録の全頁に署名、捺印が必要となります。◇財産目録を自筆しない方法としては @パソコン等で作成する A遺言者が他人に作成してもらう B不動産の登記事項証明書、預貯金通帳の写し等、相続財産を特定する書類を添付する 等があります。◇2020年7月より「法務局による遺言書の保管制度」が始まっています。自筆証書遺言は死亡後に相続人に発見されない等トラブルになるケースもありますが、この制度により、遺言者は法務局に保管を申し出る事ができるようになり、トラブルを防止できるようになりました。また、法務局に保管された場合、遺言者死亡後の家庭裁判所での検認(遺言書の形式的な状態を調査確認する手続き)が省略できます。
2022/06/17◇ 公正証書遺言作成の当日の流れと保管、費用の例
◇公正証書遺言の作成日当日の流れは次の通りです。@公証人役場に行き「証人2名以上」たち会いのもと、遺言者が遺言趣旨を公証人に「口頭」で述べます。(公証人に出張してもらう事も可能ですが日当、交通費が別途かかります)A公証人が、遺言者の口述を筆記し、これを遺言者及び証人に読み聞かせます。B遺言者及び証人が、筆記の正確な事を承認し、署名、押印します。◇遺言の保管は次のようになります。@公正証書遺言は原本、正本、謄本の3通が作成されます。A原本は半永久的に公証役場で保管され、正本、謄本は遺言者に渡されます。◇公正証書遺言作成の手数料は、財産の価値、相続人の人数等により異なります。作成費用の例:相続財産1億円、配偶者に5000万円、長男に3000万円、次男に2000万円に分ける場合⇒88000円(別途用紙代)となります。※専門家にコンティングを依頼する場合の費用は別途になります。